投資リスク(安全資産とリスク)

 

安全資産

投資によって金融資産を取得しようとするなら、少しでも高い収益率を得たいと考えるのは自然だろう。

確実に収益を実現しようとするなら、定期預金や国債などの安全な確定利付資産を得ることが、もっとも容易な方法になる。 満期まで保有すれば、ほぼ確実に当初定められた収益が得られる。

あらゆるの組織の破産やデフォルトを想定すると、まず完全に元利保証された資産など存在しないことはご存知だろう。 そのことは置くとしても、一般のわれわれが望むタイミングで、望む期間の確定利付き資産を手に入れることは、 ほとんど不可能だろう。常に新規発行されていなくても、手数料や税などの取引上の摩擦がまったくなく、 市場が常に開かれていれば、売買によって手に入れることは可能だが、その条件もなかなか難しいものである。

しかし、今後の議論の上では、完全に元本と利息が保証された望まれる期間の資産を、いつでも手に入れられることを、 実現可能な事柄として認めていくこととする。

この現実離れした自由度はまた後に整理することとしよう。とりあえずいつも自在に手にいれられることを前提とすると、 確定利付きの資産は、たった一つの収益率になる。これをファイナンスでは安全資産、その利子率を安全資産利子率という。

日常ではいろんな利子率の確定利付きの資産が見かけられることから、この演繹は不思議な気がするかもしれない。 しかし、なぜ一つになるかといえば、どのような期間であっても絶対に確定利付きが保証されているのに異なる収益率となれば、 低いほうの収益率の資産を購入する理由はどこにもないからである。

 

投資リスク

そのような確定利付きの安全資産を上回る収益率を得ようとするなら、なにかを引き換えにしなければいけないのは 自然の摂理だろう。安全資産利子率を上回る高い収益率に引き換えるものをリスクという。

リスクという言葉を一般的に定義することはなかなか難しい。通常将来の不確定な事柄について、 期待しているものより低い状態になる可能性を意味することが多いと思う。

ファイナンスにおけるリスクは、資産の価格が上下変動する可能性を意味する。

すなわち、リスクを受け入れることは、値段が上下する可能性を受け入れることになる。あらかじめ確定した収益に対して、 上下変動する不確実性を受け入れることでより高い収益を期待する。

確定資産が元本10,000円で100円の収益を生む状況で、150円の収益を期待するためには、 確定分を下回る50円の収益のケースやたった10円収益のケースを覚悟しなければならないのである。

期待するとか覚悟すると書いたのは、あくまでも将来の事柄だからである。リスクの概念を導入しようとすると、 直ちに確定した現在と不確実な将来の切り分けが求められることとなる。つまり、確率変数の扱いが必要になる。













安全資産はいわゆる利付債券ではない。



完全競争市場の仮定と考えてよい。









無裁定の仮定という。









リスクは安全資産利子率を超過する部分に見合う。

安全資産にリスクはない。




マイナスの収益、つまり支払いを想定する場合はあまりないだろう。
















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