ポートフォリオのリスク

ポートフォリオのリスクを定義しておこう。

2資産のポートフォリオのリスク

一番簡単な2資産$a,b$の組から成るポートフォリオのリスクを求めよう。ポートフォリオの収益率をこれまでどおり、 \[ r_p=w_ar_a+w_br_b \] とする。

リスクは収益率の分散(あるいは標準偏差)と定義したから、ポートフォリオについても定義どおりに、 \begin{eqnarray*} & &V(r_p)= \sigma_p^2=E(r_p-E(r_p))^2\\ &=&w_a^2E(r_a-E(r_a))^2+w_b^2E(r_b-E(r_b))^2+2w_aw_bE((r_a-E(r_a)(r_b-E(r_b)))\\ &=&w_a^2\sigma_a^2+w_b^2\sigma_b^2+2w_aw_b\sigma_{ab} \end{eqnarray*} と求めることができる。

ちょっと面倒に感じられるのは、 \[ \sigma_{ab}=E((r_a-E(r_a)(r_b-E(r_b)) \] という共分散項が登場することだろう。しかし、複数の資産のミックスを行ったポートフォリオのリスクが、 それぞれの資産のリスクでだけではなく、相関関係にも影響を受けることは注目に値する。

リスクは価格の上下変動する可能性であると説明した。すると、資産$a$が上昇するときに、 資産$b$もやはり上昇する傾向を持ち、一方が下落するときは他方がやはり同様な動きをするなら、 ポートフォリオのリスクはこれらを加えたものと成るだろうが、 資産$a$の価格が上昇したときにいつも、資産$b$の価格が下落するばかりであれば、 ポートフォリオとして上下変動する割合が相殺されることは明らかだろう。

つまり、複数の個別資産の組で構成されるポートフォリオのリスクは、 単純にそれぞれの個々の資産のリスクによって定まるものではない。相互の資産の変動の傾向によって、 ポートフォリオのリスクはより大きくなったり、より小さくなったりするということである。 言い換えれば、個別資産の選び方で、リスクをコントロールできる可能性が生まれるということになる。

2つの資産の組ではたかだかであろうが、多数の資産の組を考えれば、複雑な動きが生じることは明らかである。 ひとつの資産を見ているだけでは、決して手に入れることができない展望を見つけたのであった。

 












べき乗が出るので、添え字を下付きにしている。












共分散は2つの確率変数の相関を関係を表す。
















3資産の組のポートフォリオのリスクの式を求めなさい。

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